1944年3月、チュニジア戦たけなわの頃、英・第1機甲師団第2クイーンズ・ロイヤル槍騎兵連隊の戦車長アーサー少尉と装填手・ショーン1等兵が、こんな会話を交わしていました。
「おいショーン、お前、ホタルを見たことあるか?。」
「少尉殿、オイラは田舎育ちなんで、国じゃぁしょっちゅう見てましたよ。」
「そうじゃなくて、このサハラ砂漠でだ。」
「少尉殿、またオイラをかつごうって魂胆でしょうが、そうはいきませんぜ。砂漠にゃぁホタルは棲めないってことぐらい、学のないオイラだって知ってまさぁ。」
「それがいるんだな~、鼻の長いホタルがな。今朝、デポ(野戦工廠)にいるのをこの目で見たんだから間違いないよ。」
「少尉殿、いい加減にしてくださいよ。鼻の長ぇホタルを見たなんて、暑さで頭がどうかしちまったんじ
ゃねぇですか?。」
「悪い悪い、鼻の長いホタルというのは長砲身の17ポンド砲を積んだシャーマンのことだ。実は、ヨーロッパ戦線用に軍が極秘裏に開発していてな、この間、モンティーが帰国したとき、こっちにもよこせと兵器局にネジ込んで、なんとか17ポンド砲付きの砲塔を5輌分送るよう話をつけてきたらしい。
先日それが届いたんだが、車体の方までは用意できないからこっちで何とかしろということで、スクラップの中から程度の良いものを選んで今朝からデポで載せ替えているんだ。改装がすんだら、リーやシャーマンが散々な目に遭わされたタイガー戦車に一泡吹かせることができるかもしれん。」
「少尉殿、オイラもその長っ鼻のホタルとやらに乗れるんですかい?。」
「もちろん乗れるさ、ショーン。俺たちが長っ鼻のホタルに乗って、虎退治の一番槍になるんだ。」
(この話はモケジイの勝手な妄想で何の根拠もありませんので、どうか参考になさりませんように。)
こんな妄想を抱きつつ、M4A2(Sherman Mk.Ⅲ)ベースのファイアフライを砂漠仕様でデッチ上げようと思い立ったのが先月末でした。何故、A2ベースかと言えば、ディーゼルエンジンのA2は8,000輌以上生産されたにもかかわらず、戦車の燃料統一のため、米軍では訓練部隊と海兵隊で用いられただけで大半はレンドリースの対象として連合軍各国に供与されました。因みに、イギリス陸軍には
5,046輌ものA2が供与されていたので、これだけの数があったのならファイアフライに改造された車体もあったのではないかと思った次第です。
ファイアフライといえば、M4A4をベースとした英軍呼称Sherman Mk.Ⅴcと枝番なしのM4をベースとしたSherman Mk.Ⅰcの2種類しか存在しないとモケジイは思い込んでいて、そのことを2月28日の記事『次回作の検討』に載せたところ、早速、ブロ友のTFマンリーコさんから 「台数は少ないですが、ⅠとⅤ以外のタイプも存在しますよ」 とのご指摘を頂き、カリスマシャーマンフリークのM浦君からも、「A2ベースのファイアフライなら、確かアバディーン戦車博物館で展示車両を見ましたよ。ただ、この車体は、戦後、博物館がパーツを寄せ集めてデッチ上げたらしいです。」 との連絡がありました。
アバディーンの展示車輌というのがこちら。塗装は、もう酷いことになっちまってる
。

これなら、アスカのA2(廉価版)を使ってデフカバーを古い3ピース型に替え、砲塔を同社の
ShermanⅤc(Firefly)からパクれば、お手軽にデッチ上げられそうです。
イントロが長くなりましたが、次回から製作記、題して 『砂漠のホタル』(Firefly in SAHARA)が始まります。乞う、ご期待!。
では、また。